全天候型ハイカーのゆるふわ山日記

ゆるゆるハイキングから泥んこ沢登りまで。過去から現在までの山の備忘録。

はじめての登山(吊り尾根縦走)

前奥穂高(吊り尾根)小屋泊縦走

2013.08.02〜04

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Day2 紀美子平にて

 

プロローグ

社会人になってありがちなカメラを趣味にしようとしていた時に本屋で山岳写真のカレンダーが目に入って

よし、俺もこんなの撮ろう!と勢いだけで夜行バスに揺られて上高地に向かい地図の読みかたもよくわからないまま吊り尾根を小屋泊で縦走に行ったのが僕のはじめての登山でした。

※当時は学生時代に朝9時〜晩9時まで走り回らされてたおかげで馬鹿みたいな体力の貯金がありました。

 

当時の登山のイメージはバックパック背負って景色を眺めながら山を歩く牧歌的な感じでそこに『岳』が合わさった結果

とりあえず山といえば北アルプスだな。知らんけど。

と何もよくわからないまま雰囲気を出すためにノースフェイスで安かったドットショットジャケットとセールの登山靴を買い、コーナンで400円のヤッケのズボンを買って好日山荘で型落ちのミレーのザックを買い防寒着は家にあったユニクロのフリース、さらに肌触りを優先した結果、汗をかいたら着替えれるように綿100%のTシャツ5枚を詰め込んで

他にPEAKS読んで必携品だったヘッドライト等をザックの雨蓋に忍ばせ当時の流行りでSUUNTOの時計を着けていたのでよくわからんけど装備は完璧だな!と前日に夜行バスの予約をして意気揚々と上高地へ向かいました。

 

Day1(2013.08.02)

上高地バスターミナル〜岳沢小屋

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岳沢小屋にて

昼前に上高地に着いてとりあえず登山届けを出してストレッチした後とりあえず河童橋へと歩き始めると山々が見え始め「おお!山登りっぽいな!」とテンション上がりながら歩き始めたのはいいけどそもそも岳沢への登山口がどこかわからない。

人もいっぱい居るし高そうな装備で槍はうんたらかんたらと大きな声で話してる人達を見つけてあの人達なら知ってるだろうと岳沢への登山口を尋ねてみるとそんなとこは知らないし他所じゃないの?と言われて

地図にある地名が無いはずないしもしかしたらすごいマイナーなとこに行くのか?と不安を覚えつつ自分で地図を開いて木道を歩き始めたけどやっぱりよくわからない。

引き返して河童橋の前でおやきを売っている人に尋ねると地図と逆の方向を教えられ行ってみると西穂・焼岳の登山口に着いて混乱しながら引き返して再び地図を開いて木道を進みこの川の方だなと分岐の看板無いところを進んでみたら看板があってなんとか登山口に着いた。

1時間以上無駄にロストして予定より大幅な遅れが出ていたので楽しみにしていた天然クーラーの風穴もスルーしながら早歩きで登っていくと1時間程で小屋に着いた。

 

※ここからは同日起きた遭難事故の話も出てくるので苦手な方はDay2までスルーして下さい。

 

ほっとしつつビールを飲みながら一服していると小屋が慌ただしくなり話を聞くと岳沢上部の天狗のコル付近で3人パーティのうち2名が滑落してジャンダルム近辺の警戒中だった方達が担ぎ下ろしてくるとのことだった

本当に岳の世界なんだなと思いつつもテラスを使うとの事だったので机を運ぶ手伝いをして小屋にザックを入れ着替えて初日に着ていたtシャツを洗って干していると遭難者を背負って遭対協の方が下りてきた。

背負っていた方を何人かで丁寧に下ろして布で包んでいてなんとなくそういう事なんだなと思いつつ目の前の光景に衝撃を受けていると、もう1人の方も下りて来て同じように包まれ、そして最後に無事だった1人の方が隊員の方に支えられながら下りてきた。

憔悴しきって震えていてあの人も大丈夫かなと思いつつ一服していると人手が足りなかったみたいで小屋の方にあの方と話をしてあげていて下さいと言われ、自分を責め続けている無事だった方に言葉を選びつつ、人が落ちた時に誰も助けることは出来ないしあなたが無事でよかったし2人の分も元気に生きて下さい。遺族の方に2人の話をしてあげて下さい。といった内容の話を繰り返す事しか出来ませんでした。

 

落ち着いてから一服していると救助加わっていた小屋の野田さんに先程のお礼を言われ山のことや小屋での仕事の事を尋ねると山で命を失ってはだめだけど人生を懸ける価値はあるし、十分に気をつけて楽しんで山が好きになったら小屋に働きに来てください。と声をかけていただいたけど後日凄いクライマーの方と知って驚いたのを覚えています。

そしてビールを飲んで一服して翌日に備えて早めに寝ました。

 

Day2(2019.08.03)

岳沢小屋〜前穂高岳奥穂高岳〜涸沢小屋

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吊り尾根にて

行程も長いし夜明け前に起きて準備をして寝ぼけ眼を擦りながら一服していると日が上がってきた。山での日の出はもちろん始めてだったけど空が極彩色に輝いていて綺麗だったのを覚えています。

一服が終わり小屋の方にお礼を行って出発したけど前日の午前中に重太郎新道でも滑落事故が発生していたので正直どんなところなのだろうと少し恐怖心を抱きながら歩きだしたけど、しばらくは初日と同じ樹林帯歩きで蒸し暑さと大量のアブに一人文句を言いながら歩いていくつかのハシゴを過ぎると景色が開けてきた

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重太郎新道にて

綺麗だなー、、、今からこれ登んの?と果てしなく遠く見える頂をめざして歩を進めていくと意外と進んでいくもので2時間程度で紀美子平に着いた。一服したあと荷物をデポして前穂高を目指したけど思ってた以上に急で本当にこれは道か?登るのはいいけど下りれるのか?てか、一眼レフ邪魔だなとか考えてるうちに15分程度で山頂に着きました。

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前穂高岳山頂にて 画像見辛くてすいません。

はじめての山頂で見る空は綺麗な青のグラデーションで登らないと見れない景色があると言われた意味が少し分かって感動しました。

そして少し写真を撮った後に慎重に紀美子平へ下りて奥穂高岳へと釣り尾根を歩き始めました。少し進むと雷鳥の親子が散歩をしていて良いもの観れたなと思っていたらすぐに濃いガスに包まれて景色が見えなくなって心なしか岩が濡れてる気もするし慎重に歩いていくと1時間半ぐらいで奥穂高岳に着きました。

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奥穂山頂からジャンダルムを望む

しばらく粘ってガスの切れ間に写真を撮るうちに汗を吸った綿100%のtシャツだと冷えたんで女性登山者のいないうちに山頂でぱぱっと着替えて穂高山荘へ向かうとすぐに到着しましたが山頂〜山荘への区間は尾根が広くてペンキマークを探しながら歩いていたと思います。

食堂が開くのに合わせて小屋に到着してラーメンを食べる予定だったのに早く着いてしまい、一服しながらビールを飲んで時間を潰して開店と同時にラーメンを頼んだけど標高約3000mで食べるラーメンは格別でした。

そして気を入れ直して雑誌で難所と書いてあったザイテングラートを目指して歩きだしたはいいけど難所は見当たらないし、小走りで降りている途中でおっちゃんにザイテングラートの場所を聞くとこの上と言われ気付かないうちに通過してしまっていました。そのまま小走りで涸沢小屋には1時間少しで着きました。

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ザイテングラートにて 踏まれていて歩きやすかったです。

昼前に着いたし上高地まで帰ろうかなとも思ったけど、せっかくだし涸沢カールに泊まって星を観ていこうと、涸沢小屋でおでんを食べながらビールと日本酒を飲み夕方まで惰眠を貪り夜に起きたけどガスガスで寒くて星空見えないし、非常用に持ってたビニールシートに包まってねばったけどガスが取れずにテントを撮って寝ました。

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涸沢カールにて

 

Day3(2013.08.04)

涸沢小屋〜上高地バスターミナル

あとは帰るだけだしゆっくりと起きて準備をして朝一でビールを飲みながら一服して今日は下るだけだし全部の小屋でビールを飲みながら帰ろう!と小走りで下りて行く道中で嘉門次小屋で岩魚を食べれるのを思い出して当然寄り道をする。

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嘉門次小屋の岩魚

飴色になるまでしっかりと焼かれた岩魚はとても美味しくてはじめての登山を無事終えれたのも相まって格別でした。

そして再び小走りでバスターミナルへ向かい涸沢から3時間半程で上高地へと到着して小梨平でお風呂に入って身を整えてバスで帰路に着きました。

 

さいごに

読む人が読んだら怒られそうな

地図もわからないし、すぐタバコ吸うし、酒飲むし、綿100%のtシャツ着てるし

本当に勢いだけで縦走したのが僕の最初の登山でした。

ただ、普段からアホみたいに運動していたのとテントもロープも何も入っていない軽いザックだったのが幸いして、CTの0.3〜0.7程度の速さで歩くことが出来て時間に余裕を持つことが出来たのが大きかったと思います。

人によって様々な考えはありますが

山で地図読み出来ないのは旅行にスマホのマップ無しで行くようなもので酒飲むのは飲酒運転をするようなものなので場合によっては無謀だと思いますが

山でタバコ吸うのは吸い殻ポイ捨てしなければいいし、綿100%は適度に着替えれる分荷物を増やしても支障が無いんならいいと思います。

※綿に関して今はトレランとかみたいな発汗量多い運動でも使えるようなtシャツが出ています。